« finito ! | トップページ | ラ・クァルティーナ »

2006年10月16日 (月)

カイシャク

Pompei 介錯の仕方で......いや解釈の仕様で随分違ってくるものだ。

 先日のチェロの発表会特別出演の橋本歩さんが弾かれた「風の通り道」を聴いて、のどにひっかかっていた小骨が取れたような気がした。この曲を以前チェロの合奏で弾いたことがあるのだが、出だしの「森の奥で〜」の部分が何かしっくりいかない感じがずっとしていたのだ。

 僕はトトロを見ていない珍しい?人間なので原曲を知らず、自分なりの解釈で「森の・奥で」という風に間を少し切って弾いていた。「たららン・たたらン」と鼻歌のように演っていたのだけど、何かスマートでない感じがしていた。

 そこを歩さんが「森の〜奥で」とのびやかに弾いておられるのを聞き、はたとひざを打った次第である。あそこを続けて弾くだけで野暮ったさが取れ、次のフレーズへの繋がりもスムーズで洗練されて聞こえる。切って弾いていた時には、何だか「よっこいしょ・どっこいしょ・うんとこどっこいどっこいしょ」てな感じがしていたのだが、まるで別曲のようだ。

 元来から作曲家の意図としてはそうだったのかもしれないし、歩さんも特に意識されたわけではないんだろうけど、私にはちょっとした驚きだった。「プリ・マドンナ」ではなく「プリーマ・ドンナ」であったり、「プエル・トリコ」じゃなくて「プエルト・リーコ」だったり、「スリジャヤ・ワルダナ・プラコッテ」だとばかり思っていたものが正しくは「スリィ・ジャヤワルダナプラ・コーッテ」(=スリィ・ランカーの首都)であったと知らされた時のような驚き......とは少し違うかも知れないが、切ったり切らなかったり、どこをどう繋げるかで印象が全く異なってくる。(例語は正式な表記ではないと思いますが感じとして)

 実はこの間の発表会の敗因のひとつに、この解釈ということがあるのだが、それはまた次回に。

 ☆写真は福岡市美術館でやっているポンペイ展のお土産「トガを来た人物像」。今日はみっちさんのお宅にお邪魔して、来月予定のチェロ四重奏の音合わせをしました。一人で弾くのと大勢で弾くのと、また4人で弾くのとではそれぞれに勝手が違いますね〜。

|

« finito ! | トップページ | ラ・クァルティーナ »

コメント

「森の」の「の」で歩さんは深いヴィブラートをかけ、「奥で」の「で」ではすっと消えるように弾かれてましたね。印象的でした。

2日の合わせは、3人になりそうです。

投稿: みっち | 2006年10月19日 (木) 19時24分

あのいきなりのワンフレーズでプロのプロたる所以を知りました。あとのアレンジも前の晩にチャッチャと書いたそうですが、モレレンバウムのようなカッコ良さでしたねぇ。

実は僕も2日はくたくたかも知れないので、他の日の方が集まりやすければ、変えてもいいですよ。もちろん2日でも行きます。這ってでも。

投稿: osamu | 2006年10月20日 (金) 21時24分

Osamuさんのちょっとした驚き;多分こういうことだとも思います。タクシーの運ちゃんに先生の自宅に行くとき(バスに乗り損なった時)「Arcadiaへ行って」というのですがいつも通じない。「アルカディア」というのではなく「エルケェーディア」みたいに。あるんですよねー、こういう感じの先生の弾き方!Bowの使用方も無意識だとBlemishな音が出て、でも先生はすらっと躊躇いもなく弾く。少しは「エルケェーディア」の方に近づいていくのでしょうか・・・。

投稿: Onely | 2006年10月21日 (土) 01時32分

そういえばむか〜し、「ウォーター」じゃなくて「わら」と発音した方がネイティブに近い、と小林克也氏が書いてたような気がします。
エルケェーディア。母音を自然に使い分けるのが難しいように、音の出し方を適切に使い分けるというのも課題ですね。でもイメージがあれば近づいていくことは可能でしょう。

投稿: osamu | 2006年10月22日 (日) 00時09分

「わら」「わぁらぁ」みたいな感じで使ってますね、そういや。よく「こーひー」と言ったら「こーら」がアメリカで出てきたといってた両親もいます。そういうのってもうその場で見て聞いて学んでいくしかないのですよね…。

Vocalise、なかなか、イメージ通りに辿り着きません、練習が足りないんだと思います。今日の先生に言われた練習法を毎日取り上げて練習する予定です。いつかチェロが止めて~と悲鳴をあげるかもしれない… あぁどうなるんだろう。またDVD録画をピアニストと一緒に撮る予定です。(次回の練習の時にね)

投稿: Onely | 2006年10月23日 (月) 01時07分

う〜ん、チェロが悲鳴をあげるぐらいまで練習すれば、そうとう上達してるでしょうね。
良いDVDができたら教えて下さい。僕も上手くなって、いつかお店に(こっそり)置くのが夢です。以前、美術館に自分の絵をこっそり掛けたという人のニュースもありましたが...

投稿: osamu | 2006年10月24日 (火) 00時54分

あ、それよい!DVDはただ単に練習模様を撮るだけですよ。本番にも誰かに頼んで撮ってもらう予定ですが、お店にこっそり置くのはばあちゃんになってからかなぁ。DVDやCDはおけませんが、練習模様を取り続けて「MTV」みたいにつなぎつなぎで面白いことできないかなぁと思ってます。思い出にね。

投稿: Onely | 2006年10月24日 (火) 01時47分

イメージ・ビデオというのも、いいですね。地元テレビの天気予報か何かのバックに(だったと思うんですが)チェロをということで、僕の先生が出演されたことがあるのですが、テレビ局側は映像だけが欲しくて、音は後からかぶせるということだったそうです。ヨーヨー・マか誰かのものを。失礼な話ですよねぇ。

投稿: osamu | 2006年10月25日 (水) 18時06分

あー・・テレビ局って程失礼なモノはないです。常に間違ったことを伝え続けているんだから。ドラマの中でもチェリストじゃない人が弾いている姿が欲しくて、音そのものはその人のモノじゃない、というのが丸分かりだったものを見て、ちょっと悔しかった笑 

投稿: Onely | 2006年10月26日 (木) 23時58分

こちら(日本)では某クラシック漫画がドラマ化されたので見てみたのですが、演奏のシーンになると映像と音とのあまりのギャップに気分が悪くなります。ちょうど船酔いみたいに。

投稿: osamu | 2006年10月27日 (金) 16時22分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: カイシャク:

« finito ! | トップページ | ラ・クァルティーナ »