BELLEVILLE
シルヴァン・ショメ監督の『ベルヴィル・ランデブー』(原題"LES TRIPLETTES DE BELLEVILLE")というアニメを見た。ストーリーの大枠は、さらわれた孫を取り返せ!という至極単純ながら、監督の頭の中を疑ってしまいたくなるような想像力に富んだ作品に仕上がっている。
カリカチュアされた人たち(それにしても喋りません。日本語版の意味あるのか?)。随所に織り込まれた風刺。コメディータッチではありながら、最後まで拭いきれない物悲しさ。やはりフランスでないと創れない作品だろう。絵のほうは、あくまでザーッと描いたような感じでノスタルジックなものだが、時おり最新の技術を感じさせるような仕上がり。アニメ製作のことはよく分からないけど、こういう感じをだすのはなかなか骨の折れることではないのだろうか。
物語の重要な要素として音楽があり、一貫して古き良き時代のジャズ、その合間にバッハの平均律クラヴィーア曲1集2番プレリュード(グールドらしき人も登場)、モーツァルトの大ミサ曲ハ短調キリエなど、場面場面を印象づけることに成功している。
2002年フランス=カナダ(だからグールド?)=ベルギー合作ということで、めでたしメデタシなんだけど、どこか後味の残る映画。
見てない方は機会があれば一度ご覧あれ。自転車が好きな人には、ツール・ド・フランスが関係する話しだし、ホイールの振れ取りなんかのシーンもあって面白いかも。
●今日のことば●「ロビノー君、人生には解決法なんかないのだよ。人生にあるのは、前進中の力だけなんだ。その力を造り出さなければいけない。それさえあれば解決法なんか、ひとりでに見つかるのだ」(『夜間飛行』"Vol de nuit" サン=テグジュペリ/堀口大學訳より)
かくて、シャンピオンは漕ぎ続ける......
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