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2006年9月の5件の記事

2006年9月24日 (日)

BELLEVILLE

Belleville シルヴァン・ショメ監督の『ベルヴィル・ランデブー』(原題"LES TRIPLETTES DE BELLEVILLE")というアニメを見た。ストーリーの大枠は、さらわれた孫を取り返せ!という至極単純ながら、監督の頭の中を疑ってしまいたくなるような想像力に富んだ作品に仕上がっている。

 カリカチュアされた人たち(それにしても喋りません。日本語版の意味あるのか?)。随所に織り込まれた風刺。コメディータッチではありながら、最後まで拭いきれない物悲しさ。やはりフランスでないと創れない作品だろう。絵のほうは、あくまでザーッと描いたような感じでノスタルジックなものだが、時おり最新の技術を感じさせるような仕上がり。アニメ製作のことはよく分からないけど、こういう感じをだすのはなかなか骨の折れることではないのだろうか。

 物語の重要な要素として音楽があり、一貫して古き良き時代のジャズ、その合間にバッハの平均律クラヴィーア曲1集2番プレリュード(グールドらしき人も登場)、モーツァルトの大ミサ曲ハ短調キリエなど、場面場面を印象づけることに成功している。

 2002年フランス=カナダ(だからグールド?)=ベルギー合作ということで、めでたしメデタシなんだけど、どこか後味の残る映画。

 見てない方は機会があれば一度ご覧あれ。自転車が好きな人には、ツール・ド・フランスが関係する話しだし、ホイールの振れ取りなんかのシーンもあって面白いかも。


●今日のことば●「ロビノー君、人生には解決法なんかないのだよ。人生にあるのは、前進中の力だけなんだ。その力を造り出さなければいけない。それさえあれば解決法なんか、ひとりでに見つかるのだ」(『夜間飛行』"Vol de nuit" サン=テグジュペリ/堀口大學訳より)

 かくて、シャンピオンは漕ぎ続ける......

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2006年9月18日 (月)

低気圧

Mandelbrot 昨日は台風による停電で、思いがけずキャンドル・ナイト
となった。しかし最近、台風が苦手だ。気圧のせいだと思うのだが肩凝りがして頭も冴えない感じがする。元来肩凝り持ちの私だが、ここのところの天候不順で体の調子も上がらない。

 五木寛之氏の話によれば、ドイツでアウトバーンを走行中、「低気圧が近づくのでスピードを落とすように」と交通情報で注意があったそうである。気圧が低い時には運転手の心身機能も低下するからという理由だそうだ。それに加えて、みんな多少なりとも苛々するんではないかな。

 昨晩はたまたまアンコウ鍋だったんだけど、普段は深いところに居るあの魚である。網にかかって(水圧の低い)海面まで上がってきた時には、さぞや気分が悪かったに違いない......と思いながら食べた。

☆"Mandelbrot on Cocoa" (フリーソフト)で作ってみたマンデルブロ集合(部分)。フラクタルというと何故かモルダウの冒頭部分が思い浮かぶ。

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2006年9月17日 (日)

モテる作家は短い!

Fujita 「作品の長さと作家のモテ度は反比例する。そういえば、誰かが、『作品の長さは、作家が女を口説き落とすまでにかかる時間に比例する』とか言っていたような」とは、希代のシェフ?米原万里さん(しかし惜しい人を亡くしました)が腕を振るったエッセイ集『ガセネッタ&シモネッタ』での説。さて、このブログを改めて読み返してみると、最近ちょっと長すぎ。作家じゃないけど自分のことを言われているようで耳が痛い。

 なので、というのと最近することも多いので今日はこれまで。来月にはチェロの発表会もあるしなぁ。間に合うかな。ちなみに無伴奏2番(プレリュードだけ)の予定なんだけど。

☆パリでモテモテだった藤田嗣治「アトリエの自画像」(部分)のポストカード。この猫がレオナールじゃないので注意。10月9日まで広島県立美術館で藤田展やってます。僕は京都でみたけどよかったよ。今年、生誕120年ということでその生涯を追える充実した展示内容だった...まずい、長くなる。

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2006年9月12日 (火)

どれす●でん

Frauen CDを無人島に1枚だけ持っていくとしたらゴルトベルク(ピアノ版)だ、と書いたら、何でチェロ曲じゃないんだとお叱りのメールが百通を超えて届いた(ウソ)。そりゃいろいろ持っていければそれに越したことはないが、最後にはシンプルなものを残しておきたい。もうこれ以上削れないって感じのものがいいんじゃないだろうか。余白の美とでもいうのか、シンプルな方が自由だし想像力をかき立てられる。というより単純に好みだ。バッハの無伴奏チェロ組曲なんてのもその部類だろうけど、これは頭で勝手に鳴りだすから持っていかなくても大丈夫。

 さて、ゴルトベルクのことを書いていて、確か妻アンナの日記(『バッハの思い出』)にもでていたなと思って読み返していた。その折に初めて訳者後書に目を通したのだが、これがバッハの後妻アンナ・マグダレーナの筆によるものではないらしいということがちょろっと書いてある。......騙されたぁ。何年もずっと信じてたのに。そんな大事なことは大きく目立つように書いて欲しいなぁ、全く。あーぁ。皆さんも気をつけましょう、ってご存知か。

 そういう訳でどこまで信用できるか知らないが、ゴルトベルク変奏曲(「30の変奏曲付アリア」)の依頼主はドレスデンのカイザーリング伯(ロシア大使だったらしい)で、彼がゴルトベルクをゼバスティアンに紹介したのだが、ゴルトベルクはなかなか優秀な生徒だったようだ。

 ところで突然だけど、ドレスデン繋がりということで思い出して、あるDVDを出して初めてかけてみた。ファビオ・ルイージ指揮シュターツカペッレ・ドレスデン、ベートーヴェンの荘厳ミサ曲ニ長調(ドレスデン、フラウエン教会復興コンサート)。チェロ仲間のみっちさんがブログ(夕陽の窓)で紹介されていたのが良さそうだったので取り寄せておいたもの。まとまった時間がないと聴けないということもあって(気力がないというのも最近ある)、買いっぱなしで置いていたものだ。そんなディスクが部屋に散在。

 感想。これも無人島に持っていくっ。でもそうするとモニターもいるなぁ......という問題もあるが、映像がきれい。というか教会がきれい。それもそのはずで、ドレスデンのフラウエン教会の復興相成った記念として催されたコンサートだ。(第二次大戦の空襲による)あの瓦礫の山も再利用というか、使えそうなものはなるべく元の位置に戻しながら再建したみたい。そういう訳で、50年ぶりに帰ってきたDicke Madam(Fat Lady)ことフラウエン教会に対するドレスデンの人たちの思いの結晶みたいな作品となっている。ファビオ・ルイージの指揮もなかなかいいんじゃない。合唱団が時おり一斉に譜をめくるのが、何か鳥がわーっと飛び立つような感じにも見えた。詳しくは、みっちさんの方でどうぞ。(ここと違って文章がまとまっていて読みやすい!)

 ◎耳寄り情報! タイムリーなことに、フラウエン教会復興コンサートがBShiで 9月16日(土)午後11時25分から放映されるみたい。ハイビジョンのある方は必見。うちにはない。

 ついでに、「ドレスデン」といえば、こちらのCDも秋の夜長におすすめ! "Dodes'kaden"(どですかでん〜武満徹作品集)/鈴木大介、渡辺香津美、岩佐和弘。タイトル曲は黒澤映画のそれ。

 ☆ポスターはフラウエン教会HPのDownlordsより。個人使用の範囲内ということで。かなり縮小してますので。「平安、汝とともにあれ!」

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2006年9月 8日 (金)

GOLDBERG

Gould 昼間はまだまだ暑いけど、日が落ちると随分しのぎやすくなった。窓を開けると虫の大合唱、月も満ちていい感じ。今日、注文していたDVDが届いていたので、気分も良いし早速かけてみた。

 グレン・グールドのゴルトベルク変奏曲。2回目の録音の映像付だ。

 ...やっぱり、いい。

 無人島にCD1枚持ってくとしたら、やっぱこれかなぁ。あ、CDプレーヤーも忘れないようにしよう。あと、アンプとスピーカーも。コンセントないし発電機もいるなぁ。燃料も持っていかねばっ.........と、島に行くにしては随分かさばってしまうが、これが聴けるならそれくらいは苦にならないっ、っっっといかん、ケーブルも忘れないようにしないとね。

 なんてことは置いといて、演奏もだけど、この映像が実に面白い。グールドには悪いが、浅田彰(だったと思う、多分)がモグラのようと評していたのも頷ける。ずっと歌ってるし、指揮はするし、曲と曲の合間の様子などCDでは見ることができないので、グールドが好きな人は必携でしょう。

 ついでに、これを撮ったフランスの映像作家ブリュノ・モンサンジョンが、9月27〜29日の3日間、銀座のヤマハでイベントをするようです。近ければ行くんだけどなぁ。

 にしても、ゴルトベルク変奏曲。Goldberg、バッハの弟子の名前だそうだが、調性もト調、その名前同様Gのアリアから展びてGのアリアに収まる。それをGlenn Gouldが弾くのだから、できすぎでないだろうか。

 他に手持ちでは、ワンダ・ランドフスカやキース・ジャレットのものが、どちらもチェンバロ版。変わったところで、ドミトリー・シトコヴェツキー(ヴァイオリン)、ジェラール・コセ(ヴィオラ)、ミッシャ・マイスキー(チェロ)のトリオでグールドに捧げた版もある。これ楽譜も出ていたと思う。マイスキーはこの10月に、ヴァイオリンのジュリアン・ラクリン、ヴィオラの今井信子らとともに録音したものを出版する模様。探せばまだまだあるんじゃないだろうか。

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