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2006年5月の4件の記事

2006年5月20日 (土)

Musica Glorifica

Cembalo「17・18世紀イタリアとJ.Sバッハの器楽」と題したコンサートを聴きに、響ホール(北九州市)までひょこひょこ行ってきた。古楽器アンサンブル、ムジカ・グロリフィカによる演奏。バロック・ヴァイオリン:ジーン・キム氏、バロック・チェロ:山廣みめ氏、チェンバロ:岡田龍之介氏。

 山廣さんは現在ストックホルムが本拠だが北九州のご出身。 前半はイタリアの作曲家の作品群。マルチェッロのソナタも(第6番)演奏された。この曲はバロックのチェロ・ソナタで現代版の楽譜が出た最初だそうで(といっても1874年の話)、「バロックのチェロ・ソナタの復興の始まりを記念するもの」(エリザベス・カウリング)ということだ。本来はガンバの為に書かれたのではともいわれている作品。その他、G.P.チーマのソナタ ト短調ものれた。バロック音楽の時代、チェンバロについて通奏低音を弾くことの多いチェロだが、低音を補強して音楽を支えるというのも素晴らしいことだと思う。

 後半にはJ.S.バッハの作品。私の興味は当然のごとく無伴奏チェロ組曲第2番に注がれた。プレリュード最初の3つの音に続く滑らかな弾き始めからただならぬ奏者の集中を感じた。続いて、アルマンド、サラバンド、ジーグと4つ。この頃には耳も慣れていたとはいえ、音量の出にくいピリオド楽器とは思えぬほどに迫ってくるものがあった。途中に何ヶ所か音符の省略(なのか?)や追加があったようなので、そういう版があるのかなと思って手持ちの楽譜を見比べたがそれらしいものは見つからない。バロック時代には奏者に任される部分も多かったというから、解釈の方法なのかな。(正確なところは不明)

 その時ひっぱりだした楽譜の中のアンナー・ビルスマ版("Bach, The Fencing Master")には詳細に解説があって、専門教育を受けたことのない私は、いろいろあるもんだなぁ〜と感心するばかり。英語なのでずっと放っていたのだが、辞書を片手に読んでみると曲や演奏、楽器にまつわる様々なことが書かれてあって面白い。例えばピッチに関して、バロック時代にはA=440より下も上も使われていて、ピッチがより上の場合、オルガンに用いる高価なパイプがより小さくて済むので製作者には好都合だった、なんてことまで書かれている。

 ゆったりとバロック音楽に浸って、みんな優雅な気分になったのだろうか。混雑する帰りの駐車場でも、お互いが譲り合いながら会場を後にしていましたとさ。

☆写真 チェンバロを調律する岡田氏。これはホール備え付けのもの(French Model Harpsichord TASKIN 1760 HORI) らしい。チェンバロは演奏する曲の時代や地域でもいろいろ違ってくるそうなので大変だ。
見にくいけどバロック・チェロは現代のものに比べ指板は短く、ネックの角度も浅め。バロック弓は'D'の形になっている。エンドピンはない。

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2006年5月 9日 (火)

だぁ〜

Kicx0956 ペトロフ、ピアノを考えてる人ならおすすめのこの名前。しかし、今日のブルガリア戦では、なんという響きか。前半を終わった今、ミスタイプばかりで打っている今日のブログ。開始20分でワイン一本開けちゃいました。そろそろワールドカップ本気モードで行かなきゃいけない。小野を出してください、とは思うけどケガが怖いのか、ジーコ監督。僕はあなたを信頼してますよ、っということで、後半見ます。

どわぁぁぁ、試合終了。今後の課題は、小野とFWのコンビネーション、だ。

寝ます。酔っ払いでした。

【補記】いつも分かりにくい文章で申し訳ないのだけど、今回のは特にひどい。なので少し補うと、これはキリンカップ・サッカーの日本対ブルガリア戦の話である。で、ペトロフというのは中村俊輔(セルティック)の同僚にしてブルガリアのキャプテン。彼が開始一分のブルガリアの得点の起点となった。ピアノでペトロフといえばチェコの名器。東欧ということもあってコストパフォーマンスは高い。

 さて、開始早々1点を奪われて、最後にも一点取られ、結局2対1だった試合。個々人のモチベーションは高かったのだろうが、歯車が噛みあわなかったなぁ(特に中盤も含めたディフェンスに関して)。失点の時間帯がそれを如実に物語っているのではないかな。あとはセルジオ越後さんに譲ろう。

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2006年5月 6日 (土)

mini romantica

Romantica 僕のチェロの先生のお嬢さんもやはりチェリストで、いろいろ面白い活動をされているようだ。そのうちの一つのロマンチカがトリオ編成ミニロマンチカとして「ミニロマンチカ、イーハトーヴ浪漫西日本ツアー」を決行するというのを先生から聞き、福岡のdreamboatまでのぞきに行ってきた。田中倫明氏(percussion)、梶原順氏(guitar)、橋本歩嬢(cello)という構成。

 前半は昨年リリースした「イーハトーヴ浪漫」からのセレクト。田中さんが一曲一曲丁寧に解説をつけてくれて、そちらの方も面白かった。聴いていると、学生の頃に宮沢賢治(彼もチェリスト)を訪ねて花巻を訪れた記憶が蘇る。後半、モンカダ・アタックについてこれまた熱く語ってられたので、僕も帰ってからゲバラ(というとなぜか焼き肉が食べたくなるのだが...)の日記をひっぱりだしたりしてしまった。休憩時間に田中さんと少しだけ話してみると、なかなかジェントルなお方。でもあれだけいろんなものを叩いて、手は痛くならないのだろうか。

 ギターの梶原さんもうまいなぁ。そして歩さんは......合間に黄金色に発泡するスペシャルドリンク(ビール)を飲んでいるぞ。さすがプロは違う、と感心。でもベースラインにまわったりメロディーを歌ったりと、美しい音を奏でていました。このトリオはなかなかいい。浪漫があるよ。

 今回のツアータイトルは"VIAJE PARA OESTE(西への旅)...con IHATOV ROMAN"で、「楽浄」という曲が終わりに演奏された。穏やかな曲。田中さんがお父さんを亡くしたことを契機に書かれた曲で、極楽浄土の略だそうだ。極楽も西方なのでツアータイトルに符合してる。

 この後、ツアーは大分・熊本から奄美にまで回るそうで(すべて車移動だって)、この先演奏がどう化けるかついて行きたいところだが、また近くに来た時には聞きにいこうと思う。みなさんもどうぞ。

Svankmajer  ライブの前に天神イムズ8Fでやっているシュバンクマイエル展に寄った。チェコの映像作家。あまり広くない展示スペースだけど、真剣に見過ぎて、疲れた。こちらは6月4日まで。

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2006年5月 1日 (月)

jazz cello

Jazz 今日の一枚。Matisse作、jazzシリーズより「馬、曲馬師、道化師」。だけど、この絵を見て、何かおかしいと思ったあなた、正解です。最近美術館で改めて見た時気付いたのだけど、これ実は横長の絵。絵を入れ替えた時からずっと縦長にして飾ってたよ。ひひぃーんと嘶いているのかなぁと...。よくよく見れば、サインも横向きに入ってるなぁ。

 先日、戸畑の西日本工業倶楽部でつつじ祭りと銘打って(今年は寒い日が続いてほとんど咲いてなかったけれど)、チェロのミニ・サロン・コンサートがあった。吉川よしひろさんというジャズ・チェリストで、ニューヨークを本拠に活動されている方だそう。

 まず、演奏姿勢がスタンディングだったことに驚いた。エンドピンも80センチ近くあるし。片足をスピーカーの上に載せての演奏で、腰にきそうだなぁと思ったが、実際、しんどいそうだ。

 それと、チェロ1面(と数えるらしい)で30分ほどの時間をどう持たせるんだろうと興味津々だった。弾き始めて何フレーズかすると、どうも今弾いているのと違う音が出ていて、あらかじめ用意した音なのかと思ったが、それにしては微妙なタイミングが合いすぎている。後の解説によると、17秒(だったと思う)くらいまで録音できるハードディスクがあって、例えば始めに伴奏となる音を弾きながら録っておいて、それをすぐ再生しながら弾いているとのこと。そんな機材があったのか。その後じいっと足を見ていると、曲の間、細々とペダル・スイッチを操作してました。それにしても足でタイミングよく操作できるものだと感心した。僕も欲しいと思ったが、取り損ねた音も延々ループしてしまうという点が考えもの。

 他にも、片足に鈴をつけて鳴らしたり、リベル・タンゴ(だったかな)の最後に弓で刀のように空を切るという荒技?を使ったりと、いろいろ驚かされた。弓を強く振るとあんなにいい音がするとは、気付かなかったなぁ。家に帰って早速やってみた。ひゅっ、ひゅっ!

 最後、ジャズを聴きたいという無理なリクエストに応えて即興をされたのだが、あれは凄かった。アルコ、ピッチカートと変幻自在。チェロという楽器の可能性を教えてもらった気がした。

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