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2005年12月の8件の記事

2005年12月30日 (金)

音楽と香気

Nostargiaseppia 『「もしも音に匂いがあったなら...、」と言ったのは、20世紀初期のフランスが生んだ天才芸術家ジャン・コクトーですが、その頃まで主流であった大時代的装飾過剰な音楽を皮肉り、「...その臭いにいたたまれず、誰しもそこから逃げ出すだろう」と酷評しました。これは今の人にも聞いて貰いたい言葉ですが、核心を突いていると思われるのは、「馨(かおり)を聞く」などというように、音と香りがとても似ているということです。どちらも思考を飛び越え、直接大脳に届いてしまうという不思議な感覚で、音も匂いも記憶を即座に喚起する、という原始的反応は良く知られていることでしょう』

 上は細野晴臣氏の文章の抜粋で、同氏監修の『美しい時』という曲集の解説に載っていたもの(コクトーの典拠ご存知の人、教えてください!)。書かれて10年以上は経つと思うが、当時は多くの人が電話を持ち歩き始めた頃でもあった。町中には安易に流される電子音などが氾濫している状況で、とても共感した文章だった。

 コクトーの仮定によって、もし音が匂いとして知覚されたら、或いは味として感ぜられるものであったら、触れることができるものであるとしたなら、社会に溢れる音を私たちはどう感じるだろう。きつく、苦く、ちくちくしたものが多いのではないか。それらがごちゃまぜになった刺激に、たちまち感覚は麻痺し、感受することを拒否してしまうことだろう。

 以前、静かな春の日に、田舎のあるお宅で黒電話のベルの音を耳にした。こんな澄みきった音色だったろうか。つかの間心を奪われてしまった。あれが当たりまえだった時代があるのだ。かつてはあの音すらけたたましく耳障りに感じていたように思うが。

 自分も鼻をつままれないような演奏を心がけたいと誓うのであった。


☆写真 クラシックカーレースのミッレ・ミッリア(1,000miglia)を記念して調合されたオー・デ・コロン「ノスタルジーア」。サンタ・マリア・ノベッラ調香薬局製。で、頂き物(grazie!!)。ラベルにハンドルを握る手が見える。「クラシックカーレースを愛し、そして去っていった人と車への郷愁が甦ります。タイヤの焦げる香り、ウッドステアリングの香り、レザーシートの香り等が往年の名車を彷彿とさせます」とか。

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2005年12月29日 (木)

指ぺこヴィブラート

Watch 昨夜初めてチェロが夢に出てきて、しかも譜面台に置いていた弓を誰かが落として折れてしまうという、何かとんでもない結末だった。ひょぇ〜〜〜、と思いつつも、なぜかホッとするような気持ちも入り交じりつつ目が覚めた。

 自己分析をすると(するまでもないけど)、2週間後の発表会に対して準備不足であるという不安の現れなのだ。弓には気の毒なことをしたが、これでもう弾かなくていいんだなぁ(弾けなくなったと自分には言い聞かせてある)という感じの逃避願望。実は弓を1年前に買い替え、古い方も予備としてとってあるのだが。とにかく、チェロに関する夢をみることが記憶では今まで無かったので、珍しく起きてからも内容を覚えていた。

 と、やや追いつめられている感じの今日この頃、ヴォカリーズを弾く為、きれいなヴィブラートをかけられるよう試行錯誤を続けている。そんな折り、こんなページを知り、なるほどと思い、暇さえあれば指のペコペコを練習している。ゴーシュ弦楽器店の社長である山崎さんは、新日フィルで首席チェリストをされていたそう。

 僕の場合小指が問題で、最初はペコッとなりすぎて小指が折れたかと思った。アドバイスに従い、机の上で練習するとそう難しいことはないが、いざ指板の上で実際にかけてみると、なかなか思うようにぺこっとならず上手くコントロールできない。どうも4の指は他の指に比べて短いので、第二関節が伸ばしぎみになるためだろう。

 しかし小指の第一関節に意識を集中すると云うのも難しい話で、以前(利き手ではない)左手で歯磨きの練習をしたとき以来の不如意な感じ。(皆さんも口の中をケガしないように注意して試してみてください、本当に難しいから)

 さてさて時間もないが、発表会までにマスターできるや否や。精進精進。なお、山崎氏はボウイングの重要性を強調されており、その役割について認識を新たにした。

☆写真は関係ないけど、グラス越しの腕時計。

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2005年12月21日 (水)

演奏技術と語学力の相似

Okashi 来年早々、とんでもないことだが、チェロの発表会がある。課題曲はラフマニノフ作曲のヴォカリーズ。今週ピアノの先生と音合わせがあるので、久しぶりに楽器をとりだして弾いてみた。

 「一日練習しないと、自分でわかる。二日練習しないと、批評家にわかる。三日練習しないと、聴衆にわかる」(イグナツィ・パデレフスキ)そうな。

 あぁ、一週間もさぼって...どこまで知れてしまったか...

 弾いてみるとホントに情けないくらい表現できない。自分の頭で鳴っている音と出てくる音との差にいらいらしてしまう。ヴィブラートがおかしい。クレッシェンド・デクレッシェンドが美しくない。その他もろもろ。ぼろぼろ。へろへろ。

 この辺り、海外に行って人と話をしている時に、語学力不足でニュアンスを伝えられないときの気持ちと似てる。それから言えば、今の自分の技術はカタコトですらないかもしれない。流暢に話せたら、さぞやすっきりするだろうな。

 ...こんなの書いている隙があるなら、練習しとけ。俺。


☆写真は京都祇園のお菓子屋さんで

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2005年12月18日 (日)

トルコの青

Iznik 今回は自分が出かけた訳ではないのですが、トルコのお土産にもらった陶器碗の写真をアップ。美しい青(イズニック・ブルー?)でチューリップ文様があしらわれています。岡本太郎氏の絵にでもでてきそうなゆらゆら加減がいい感じですね。

 ナザールボンジュウ(青い目玉)も一緒にもらいました。邪視から守ってくれるという頼もしいヤツです。がしかし、内緒の話ですが、そのお土産をくれた本人がひったくりに遇ってしまったらしい。旅慣れている人だし、用心はしていたそうですが、分捕られてしまったそう。災難、災難。

 海外安全情報にも、睡眠薬強盗やら爆弾テロなどいろいろ出ている模様です。EU加盟も微妙だし、ワールドカップ出場を逃したり、何かと歯車が噛みあわない感じのトルコ。僕も一度は訪れたいのですが、治安は良いにこしたことはありませんねぇ。

 さて、イルハンはどうしてるかな。

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2005年12月16日 (金)

ディズニーシーにエチゼンクラゲ!?

Jerryfish【news gasse】クリスマス前の東京ディズニーシーで、園内のメディテレーニアン・ハーバーにエチゼンクラゲが集団発生していることが話題となっている。

 数年来、夏から秋にかけて日本海沿岸を中心に大発生し、漁業に深刻な被害をもたらしているエチゼンクラゲだが、今年は潮流の影響か太平洋岸にも多く姿を現わした。一般的に低水温下では活性を失い、14~5℃以下ではその多くが死滅するはずのクラゲだが、ここ数日の寒波の中、またディズニーシーという閉じた水域に突如出現したことに関係者は一様に驚いている。

 係員が試みに夜間ライトで照らし出したところ、暗い水面に大小のエチゼンクラゲが幻想的に浮かび上がった。アトラクションに並び疲れた人たちが癒しを求めて集まりはじめ、今では園内屈指の人気スポットとなっている。同園ではハーバーサイド・クリスマスの期間中、「TDS ジェリーフィシュ・ナイツ」としてライトアップを続ける予定。周辺の売店は話題のクラゲアイスを求める人たちで混雑している。

 ▽千葉水産海洋研究所員の話 「エチゼンクラゲは通常のクラゲとは異なり、ポリプが歩くように移動しながら増えていくことが分かっている。今回の発生場所が閉鎖性水域であることから考えて、ポリプが陸を歩いたということもありえる。想像すると楽しい。」


※この記事は虚構新聞社に感動したので遊んで作ってみました。言うまでもなくフィクションです。

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2005年12月11日 (日)

アングルのチェロ、そして猫。

Gato ネットを見てたら変わった楽器を製作している人に行き当たりました。Rainer W. Leonhardt氏。Sonderwuenscheの項をご覧あれ。青いヴァイオリンやチェロも不思議な感じですが、アングルのバイオリンならぬチェロ。マン・レイもびっくり。

 おふざけのみかと思いきや、侮るなかれ。レオンハルトはわりと有名な工房のようで、三代目のライナー氏も数々のコンペで受賞しているマイスター。日本にもこの工房のものが(青くはないようですが)入ってきているようです。さすがはミッテンヴァルト。いろんな人がいるもんですね。

 でも全体、どんな音がするのでしょう。キーキ(Kiki)ってな感じかな? おそまつ。

 さらに関連で「forte」(大人向け?)という映画もあったんですね。知らなくて観てないんだけど。


☆写真はオマージュ作品「アングルの猫」または「洋楽器支持者(三味線にはなりたくにゃい)」

ーーー追記ーーー
音色はどうやらふつうのようですね。
ドイツ語読めないので、よく分からないんですが...
こちら"Blue Violin"の"Kostprobe !"から入ってご試聴ください。

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2005年12月 9日 (金)

京で師走

Minamiza 所用で京都に行ってきました。

 比叡山の雪化粧やら南座顔見世のまねき(看板)をみると、今年もあと少しだなぁーという感じが。

 河原町に行ったときはいつも覗いていた丸善がなくなってしまってちょっと寂しい。前回寄ったときは閉店セールの最終日で、山積みしてある梶井基次郎の『檸檬』に記念スタンプを押さんと、店内に長い行列ができていました。レモンを書棚に置いて帰る人も多かったそう。爆発しなくてよかったね。

 年末は人出も多く、みな早足なので、知らずしらず気が急いてしまうなぁ。いかん、いかん。

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2005年12月 6日 (火)

弦楽器メンテナンス講習会

Maintenance 先日、小倉のヤマハで、弦楽器メンテナンスについて講習会がありました。午前中はヴァイオリンで、午後からチェロの部があったようです。チェロの先生の企画か、ゴーシュの会(※)も勉強会ということで夕方から講習を受けました。

 美人弦楽器職人であるH氏がご講師。日本の第一人者である無量塔藏六(むらたぞうろく)氏(東京ヴァイオリン製作学校)に教わったそうで、親しみやすく気さくな方で、いろいろ相談もできそうでしたが、東京在住なのが残念。レクチャーの合間にも会員からいろいろな質問がなされたりして、興味深いお話が聞けました。魂柱がズレないよう、なるべく魂柱が下にくるように気をつけて置く人もいるとか。(チェロはずれにくいそうですが)

 その後、H氏を交えて鳥町食堂街さんきゅうにて懇親会。十月に行った平尾台ドリーネコンサート(野外でも行いました)の反省などで盛り上がりました。素朴な質問コーナーでは、チェロに関する質問の他、個人的な質問も飛び交い、同氏が新婚ほやほやであるとの情報に、一部会員(誰?)は肩を落とす場面も見られました。

 そんなこんなでモツ鍋(ひさびさに食べた)をつつきながら、一月に発表会があるので頑張ろうということで解散となりました。おつかれさま。

(※)ゴーシュの会:北九州を中心に活動するアマチュア・チェリストのグループ。ヤマハ小倉店の生徒やその他で構成。シュゴーの会とも。


☆弦楽器メンテナンスについては、同じく無量塔さんのお弟子さんで、ドイツに渡りマイスターを取られた佐々木朗氏のHPにも詳しく説明されています。

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